日新鋼管30周年記念展示会 搬入まで後 3週間と1日。
そのなかで構想、制作までしなくてはいけない。プレッシャーがのしかかる。
日新製鋼 広報の社員さんの 言葉が蘇る。「大丈夫ですよ。古屋さんなら」 根拠の無い自信をくれた。
そっか大丈夫だね 私 ( ̄∀ ̄)
でもね、 そもそも 鍛冶屋さんは鉄に対して
「焼いてなんぼ、叩いてなんぼ、曲げてなんぼ ☆ それで鉄が生きる」 と思っている種族なのです。
そして今回、 自らに課したのは鋼管の美しさを保つために 「焼かない、叩かない、曲げない、最低限の溶接。」
鍛冶屋さん絶命です。
しかし、工場見学で日新鋼管さん達に 再会する時には 何らかの発展させておかなくてはならない。
再び 「サッパリです」 とは答えたくない。
脳みそはフル稼働。
パイプ、パイプ、パイプ、パイプ..丸パイプ?角パイプ?
穴が空いてる、中身が無い、入れる、向こうが見える、
パイプパイプパイプ...
鉛筆もスケッチブックも不要だ。 最初にすべき作業はパイプという素材に寄り添うための脳の改革だ、
パイプパイプパイプ
叩くと音が出る、強度がある、軽い、入れ子のように重なる。パイプパイプ....パイプオルガン、
パイプパイプパイプ
固定概念を外す事、本来の存在価値や用途を無視しても、素材その物の生命力を引き出さなくてはいけない。
ある日、バイト先でフォークリフトを運転していると、頭の中の とっちらかったパズルのピースが カタカタと片づいていくような感覚。
今だ。 今来る。
ちょうど 仕事の区切りがついたタイミングだったので、フォークリフトを降り 梱包用ラップの芯 (紙製のパイプのような形状) を手に取り しげしげと眺める。覗き込んだり 頭の上にかざして見上げたり。 ほんの数分もしかすると数十秒かもしれない。
パズルの最後のピースがカチリと収まった。
これしかない。
次の日、 試作を作る。 工場見学の時 に持って行って 反応を見よう。
コンセプトは 少々言葉にし難いのだが、「変化し連鎖し過去と未来が刻まれる。 変化の中心には芯が通る。」
30年という 日新鋼管さんの 歴史の中で 数々の変化を経験してきたことでしょう。
その中で培われた技術と 物作りの精神は 変化することなく 脈々と受け継がれている事でしょう。
パイプの四角いフォルムを 変えることなく 変化の連鎖により 全体を変形させる。工場見学の最後に サンプルの写真 (上がその写真) を見せた時、下妻工場の方の目が キラリと輝いた。
学生時代には 一つの作品を作るには 数十の案を考えて選別しなさいと 習ったけれど、
物事の本質を突いた 一つの案が 出れば それでイイと私は思う。
だから、やっぱコレだね。
この作業なら 搬入までに間に合うだろう。
しかし、切断は困難だろう、仕上げのバリ取りも難しいだろう。 強度テストなどもしなくてはいけない。
外注する時間的余裕もない。
ではでは今日はこの辺で。 制作話は後日。
金曜日午後時々在廊しております。
御用の方は当サイトメッセージからご連絡ください。
ギャラリー情報
日新鋼管 http://www.nisshin-kokan.co.jp/
日新製鋼ギャラリー http://www.nisshin-steel.co.jp/gallery/
日新製鋼ギャラリー
連絡先:日新製鋼株式会社
〒100-8366 東京都千代田区丸の内三丁目4番1号(新国際ビル)
TEL:03-3216-5566
開場時間:午前9時~午後6時(月曜日~金曜日 ※祝祭日は除く)
入場料:無料