3月末に九州に日帰り出張で下見して打ち合わせして〜。
一気に完成です \(*^▽^*)/
6月初旬には作品発送し設置も終わっていました。
建物の公開に伴い作品公開も許可出ました ∩(・ω・)∩ バンザイ。九州セキスイハイム工業(鳥栖市轟木町)さんの新工場エントランスです。
リニューアル記念として、日新製鋼株式会社さんと日本鐵板株式会社さんから依頼を受けて制作。
題名《あふるる》
セキスイハイムさんのセキスイ(積水)という言葉は孫子の兵法に由来するそうだ。
「勝者の戦いは、積水を千仭の谷に、決するがごとき、形なり。」
訳ー 勝利者の戦闘というものは、満々とたたえられた水(すなわち積水)を深い谷底へ切って落とすような、激しい勢いの得られる形のもとに、一気に決める。
セキスイハイムさんはそこから
《事業活動では、必ず「問題」や「課題」に直面する。これを破るには、相手の実情をよく知り、充分な分析をしたうえで、当方の体制をつくり、満々たる積水の勢いをもって、勝者の戦いをすることが大切である。》
という理念が社名の由来。もっと気になる方は下記参照下さい。
http://www.nishinihon-sekisui-shoji.co.jp/corp/origin/index.html
http://president.jp/articles/-/73
これに、非常に興味をそそられたそれに基づいてイメージを膨らませた。
この作品では、山あいの谷間に満々と溜められた水の最初の一滴が走り出す瞬間を表現したかった。
新工場ということだったのでスタートの意味を込めた。ダマスカスを使うことによって水紋と、蓄積された水の歴史を表わせたらと考えた。
このモデル以外にスケッチでいくつかの案を提出していたが、選ばれたのはコレだった。
実はこの形、画で描いたら格好良かったけれど、その時点では3次元に置き換えた時の効果が想像ができなかった。
制作工程も日数も一番かかると見込んでいた。
かなり冒険になりそうだったので、選らんで欲しくない物だった。
けど選ばれちゃった ∩(・ω・)∩ お手上げ。
「ヤバい間に合わないかも〜」
とりあえず一番不安なダマスカスからね。
でもダマスカスも個展等で使い果たしてた。ストックゼロ。最初から鍛えていく。
水面はあまり派手な模様は要らないな水の輪っか程度でいいな。と意図して制作したが、
いざ大まかに出来てみると、シンプル過ぎて模様が間延び。美しくない。
いじくりまわしてもダメ。
「もういいやこのダマスカスは捨ててやる〜。丹精込めて鍛えたたのに〜時間無いのに〜」
腹立ちまぎれに、一度火にいれて潰しにかかった。
叩き始めるとダマスカスが言った。
「よぉ。
オレをもう一回試さない?オレはアンタが鍛えたダマスカスだぜ。
信じてオレの言葉聞いてくれよ。」
「え?あんたにそんな力あるの?
けっこう腑抜けな模様だったけど。でもその自信惚れたよ付いてく、魅せてちょうだい。」
「まず、見ろ。今お前が叩いた力の軌跡を。」
平面を横から潰したから両側が盛り上がり中央が筋になって凹んでいた。
「ぁあ!!
そうだ、水面は必ずしも平らじゃない。滝の落ち口は水は窪んでいるんだったね。」
「水も鉄も物理だよ。」
そっから会話が始まった。
今思い出しても寒気がする。
ダマスカスは私に「この方向で叩け」と明確に指示を与えてきた。
叩きが行き着く所まで行き着くと
「削れや!!」と言う
「へい!お次は?」「叩けや!」
それを数回繰り返した。
だんだんダマスカスはべらんめえ調の口を閉ざし素材に戻っていった。
私は「あぁ彼は伝えるべき事を伝えて私に任せたんだ。」と感じた。
見る人からみたら普通のダマスカスだ。でも私は今までしたことの無い方法を試みた。ダマスカスに導かれて。
ずっとずっと片思いだった鉄だけど、私は鉄に愛されてるそう思えた。
おかげでダマスカスは少しもロスしなかった。本体の黒い部分はステンレスを使用。
ご依頼主の日新製鋼さんも日本鐵板さんもステンレスに強い会社だからね。
ステンレスでいろいろ制作してきたけれど、板材でこれだけのボリュームを成形するのは初めてだった。
難しかったね。
制作期間が、短い中でもう少し手を加えてあげたかったけれど、何日も何日も自宅にすら帰れず、ギリギリまで粘って、ベストを尽くした。
当時バイト先の会社も凄く忙しくて、毎日残業続き。
でも会社の仕事も手抜きしなかった。
私にとって、仕事するからにはどちらもきちんとする。
それが私のプライドなんだ。
きっと会社の人々は私がどんだけ無理して生きてたかなんて気が付いてもないだろうな。
すごく大変だったけど、楽しかった。
ダマスカスがあんなに明瞭にに会話してくれたなんて嬉しくてたまらなかった。
私にチャンスとチャレンジを下さった日新製鋼さんも日本鐵板さんありがとうございました。
選んで欲しくなかった物に挑戦する使命を与えてくださったセキスイハイムさん。やはりこの案が一番私らしい形でした。
ありがとうございます。
セキスイハイムさん気に入ってくれてるといいな〜