東京デザイナーズウィークの際出品した、
<ヘパイストスの贈り物>について。
ヘパイストスはギリシアローマ神話の鍛冶屋の神様。
題名には実はそれほど意味はない。
作りたかったのは全て鉄の座り心地いい椅子。
モチーフは牛の骨盤。
こうゆう立体物はスケッチいくら描いても、現実は想像よりはるかに
困難で、物の成り立ちには起点と終点が確実に必要になる。
絵では起点や終点をごまかせるけど。
だから制作の元になったのはこの下手な絵だけ。
側面の絵もトライはしたけど失敗しました。
どのラインがどこから始まり、どのラインと前後するか、どこで終わるか。
鉄材の太さや抑揚。
鉄材の太さによる可能な、ライン。
すべての決定は実際作りながら。
6ミリの丸棒を 変形させラインの流れや位置関係を決める。
それにより、本番の鉄材のボリュームと形、抑揚を決定する
抑揚を付けた材を 曲げる。
そのラインの間に 鉄板を張っていく。
本来、全体の骨組を作ってから鉄板なんだけど、
途中で作品の写真が必要うになり、ファイスだけを先に張った。
わかったこと、シンメトリーの込み入った、立体を手作りするって
本当に難しい。
ぶっちゃけ、腹が立つ。
重い、堅い、熱い!!
不思議なことに、この椅子は早いうちから
人格を持った。
できあがった作品が、彼らの意志を持ち、私は制作者である意識を無くすということは
珍しくないんだけど。
制作中から、その現象が起こることは今までなかった。
この作品は早い段階で自立してしまい、
私は自分が作ったというより、コイツの意志を尊重したという感覚だった。
毎日制作してるのに...。
できあがった時は、作者と作品というより。
そこにいるソイツとワタシ。
という気分だった。
座面となるパーツや背もたれがしなるから
座り心地もいい。
搬出の日、台座から下ろして周囲の方に座っていただいたら
予想外の座り心地びっくりされました。
搬出を手伝いに来てくれた父もご満悦。...かな?