地味じゃなかった。(日新製鋼株式会社見学その2・周南製鋼所)


ほとんど寝ないまま 興奮の二日目開始です。


こちらでもまず、応接室で周南工場の沿革と製造工程を説明していただきました。

周南工場は広幅ステンレス冷延鋼板に 特化した工場だそうな。

周南工場には高炉の代わりに電気炉があります。

電気炉→転炉→真空脱ガス装置→連続鋳造設備(長さ10メートル厚み20センチ重さ15〜20トンのスラブと呼ばれる巨大鉄板になります)→スラブ研削機、グリッドブラスト(圧延前に表面を整える)

そして、周南工場には熱間圧延設備(真っ赤状態で伸ばす)がないので船に乗って呉製鉄所・衣浦製造所へ運ばれ、

厚み6ミリまで、圧延されて巨大トイレットペーパーみたいなホットコイルになって再び周南に戻ってきます。141022_1223~01.jpg         《日新製鋼卓上カレンダー2013年版 呉製鉄所/熱延コイル 写真 森信英(GEO)》

戻ってきたホットコイルは圧延でキュッとしちゃった組織を適温に加熱し素材本来の性質に戻されます(焼鈍−しょうどん)。 刃物の世界での焼き鈍し(やきなまし)のことね。

続いて酸洗、ここであのステンレスの銀色が現れます。さらに焼鈍と圧延を繰り返しながら丁寧に冷間圧延。
仕上げ研磨。研磨の種類もたくさんありますが、こうしてどうやら完成です!!!

凄い手間がかかってますね〜


「周南は地味ですよ。電気炉は覆いがあるから溶銑は見えません。ガッカリしないで下さいね。」
と念を押されて見学スタート。電気炉へ向かいます。もちろん構内巨大なので移動は車です。

電気炉の建屋をに近付いた時、ちょうど取り鍋が台車で移動してるのが見えた☆
ちょっと幸先イイカモ☆

電気炉2基を左右に 見下ろせるスペースでしばし見学。141023_1256~01.jpg           《日新製鋼卓上カレンダーから 周南製鉄所/溶銑取鍋 写真 森信英(GEO)》
               写真の奥の台形なのが電気炉。私が居たのは左上の方

確かに覗く隙間など無い、鉄壁の守りの電気炉。容量160トンの電気炉は世界最大級だそうだ。
質問しながらしばらく眺めていると 電子音のメロディーが流れ出す ♪♪♪
無機質な工場に 鳴り響くかわいらしいメロディーは、なんとも不釣り合いで、それ故に妙に似合う。
 これから何かが起こりますよ〜 という時にはこのメロディーとアナウンスが流れる。

どうやらタイミングよく電気炉から溶銑が出てきた。
巨大な 溶銑取鍋が空中をクレーンで運ばれ、目の前に降りて来る。

目の前に太陽が降り立ったみたいだ、輝きと湧き上がる熱。 レモン色の液体から発せられる ものすごい熱気は 危険防止の透明パネルがあっても伝わってくる。

一度、何か間違いがあれば 人にはコントロール不能になるだろう。 これを毎日何度も繰り返す、そこには慣れも失敗も許されない緊張を感じた。


溶銑取鍋は 少し傾けられショベルカーの先端の腕みたいのが、熱さにもめげずに健気に表面に浮いた 不純物を取り除いていく(溶銑予備処理かな)。

ガシャンコン ♪ ガシャンコン ♪ さぞかし熱い事だろう。まぁ機械だけど...。
自動なのかな?遠隔操作かな?
ボ〜ッとみとれてると、「あっ電極ですよ!!」社員さんの指差す方に目をやる。先端が熱を帯び、ほんのり赤い電柱みたいな棒が吊り下げられて移動してくる。
141023_1332~01.jpg             《日新製鋼株式会社 周南製鋼所パンフレットから 電極/部分》
「電極見ちゃうなんて持ってますね〜。 私達も電極見るのは初めてですよ!!」
あらま \(*^▽^*)/ わぁい ラッキー。

まぁ皆様 電気炉専門ではないそうなので 当然なんだろうけど、ちょろっと来た客にしては持ってるね o(^-^)o


電気炉は新たなサイクルが始まるようです。スクラップなどが鍋にガシャ〜ンと投入されるのを見届けてから電気炉を後にした。

そっかぁ。 ステンレスは鉄鉱石から作らないんだ!! (少なくとも周南工場では。) ある意味鉄の二次加工物のような、溶かすだけだから電気炉なのか ☆ 納得
こうして、周南は地味という前振りは堂々と裏切られていきます。


次は。冷間圧延です。冷延は読んで字の如く、ホットコイルを冷えたままそれぞれの製品の厚みまで圧力を加えて延ばす!!です。要するに麺棒で クッキーの 生地延ばすみたいな。
《タンデム式センジミア冷間圧延機》 チンプンカンプン (笑)

どうやら、センジミアミルという4台の圧延機がズド〜ン ズド〜ン ズド〜ン ズド〜ンと4機並び一度の圧延で4工程一気にやっちまう ♪ ということのようです。
ちょっと乱暴な説明ですが。141024_0012~01.jpg        《絵にするとこんな感じだそうな。丸がロールです。周南製鋼所パンフレットから》

このセンジミアミルという機械には一台につき 上下各10本計20本のロールと呼ばれる棒が付いています。ロールが麺棒の役割ですね。

その麺棒が20本が素材に 触れるわけではない。 実際に触れているのは 上下1本ずつのみ(絵のちっちゃな丸 ) 残りの18本最前線の2本に大きな力をそそぐいわば 後方支援なのです。
この《タンデム式センジミア冷間圧延機》は日新製鋼オリジナルで 世界で唯一だそうな☆

圧延機の中には機械1958年製の 製造開始から使われてる物もあるそうだ。
見学していていると、それぞれにオペレーター室があり、自動化とコンピューター制御が行われているのだが、古い機械を最先端のコンピューターで制御しているのですね。
その後上記の工程を経て製品になるのです。141024_1001~01.jpg            《日新製鋼卓上カレンダーから 周南製鋼所/ステンレスコイル》


ちょっと構内を 見渡してみましょう☆と
連れて行ってくださったのは光輝焼鈍設備。
エレベーターをビューンと登って更にちょちょいと歩いて登る。焼鈍設備だけに もわ〜っと暑い。

そして屋上!!!! 絶景(笑)

都会の展望台は好きじゃない。 山やら海やら見る展望台しか行かない☆

そんな私が大興奮 ヾ(*´∀`*)ノ゛
地上で見てた巨大な働くクルマ が缶コーヒのおまけのミニカーくらいにちっさい (◎o◎)
日新製鋼もお隣の工場もかっこいい〜


惚れちゃいます。いえいえとっくに惚れてます。

 再び地上へ。


巨大フォークリフトが 鋼板の巨大トイレットペーパー状態になったコイルの、センターにフォークリフトの爪を刺して運んでる姿がなんともかわいらしい。眼がカニだし〜 DSCN9226s.JPG
フォークリフト君達もお昼休みです。許可をいただいて近づく。
私の乗ってる1.5トンバッテリーフォークとは全然違います!!
やや熱気を帯び、オイルとゴムの匂いが混じる。けなげに頑張ってるんだな〜アリガトネ。よろしくね。
フォーク達がかわいくてたまらず、なかなか離れない私の周りを、ランチに向かう社員さん達が不思議そうに通り過ぎて行った。
あ〜 運転してみたいな〜

「あの〜私フォークリフト免許あります。それに意外と上手いんです ☆ ここで働かせて下さい!!!」

「いえいえ、古屋さんには今後とも素晴らしい作品を作っていただかなくてはなりませんから。」

あ〜素晴らしく華麗に転職失敗しちゃいました (≧∇≦)

こうして私の呉、周南見学は終わったのでした。
そして、アテンドの社員さんとも山口の駅でお別れし、
私は秋芳洞に向かったのでした。《2014.6.8のブログ 秋芳洞とガントレット。に続く》141025_1029~01.jpg周南で頂いちゃいました〜。
周南製鋼所オリジナルステンレスタンブラー!!二重構造なので保温、耐熱どちらも最高☆見た目もクオリティ高い!! 呉でも頂いてすごく嬉しかった記念写真、周南では案内して下さったイケメン ♪ お二人も写って下さった☆
そして「古屋さん観光してお帰りになるっておっしゃっていたので」と山口のいろんなパンフレットくださった〜優しさですね〜。
最後に、これだけの企業さんが、私のようなしがない作家をこうして受け入れ、たくさんの方の時間を割き。それがどれほど大変な事かと...。そして、それぞれの方がとてもあたたかかったです。
呉製鉄所、周南製鋼所の皆々様、数々の無知な質問に、真摯に答えてくださったこと心から感謝いたします。
Y野さん二日間ありがとうございました。本社のM下さんK浦さん 更に一層鉄を好きになりました。深く心に刻まれた二日間になりました、このような経験をさせていただきありがとうございました。
                                    また見学したいな〜∩(・ω・)∩(笑)


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